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2025.07.01

【新会館建設レポ1】不易流行をめざせ!北大阪商工会議所新会館建設のあゆみとゆくえVol.1

北大阪商工会議所は現在、自前の会館の老朽化により、大垣内町から車塚の輝きプラザきららに仮移転している、ということをよく知っている方も知らないという方も各々たくさんおられることかと思う。老朽化し耐震にも問題があった旧会館から仮移転することができたのが令和元年11月、そこから早くも6年が経過しようとしている。会員の皆様を始め、当所へ御用の方々には大変ご不便をおかけしてしまっていることだろう。本来ならば、当然このように長く仮移転が続く由もなく、現時点で3回に上る特別委員会の設置、喧々諤々議論や検討、計画があった上での現在である。皆様には大変遅ればせながら、今回はその苦悩ともいえる当所新会館建設に向けたこれまでと、次回にはこれからについて会員の皆様に向けて記させていただきたい。

北大阪商工会議所会館のあゆみ

現在大垣内町にある我らが会館は、昭和45年(1970年)1月に某大手設計会社と某大手ゼネコンによるジョイントベンチャーによって建設され竣工、当時からすれば非常に先進的な建築物であったようだ。高度経済成長期の初期からバブルへと駆け上るように時代と共に会員の皆様の憩いの場所であり、相談所であり、多くのビジネスマッチングが産声を上げた場所であったであろうことは言うまでもないだろう。長い間お世話になったと一言で言ってしまえばそれまでであるが、しかし半世紀というあまりにも色々ありそうな長い間である。折角の機会なので今般は忘却されていくであろう旧会館の仕様と先人の会館に懸ける想いが詰まった貴重な会館建設趣意書の内容に少し触れてみたい。不易流行のヒントが見つかるかもしれない。

旧会館仕様

鉄筋コンクリート地上4階建、床面積668.7㎡、延面積2811.24㎡

旧会館建設趣意書

「当枚方寝屋川商工会議所(当時の名称)も創立以来会員各位の一方ならぬ御支援、御協力により逐次発展の道を歩んで参りましたことは、誠に御同慶の至りであります。こうした躍進を続ける当所管内(枚方市、寝屋川市、交野町)は、京阪工業地帯を結ぶ中枢地点として、各種企業団地等の造成進出を契機に、更に新産業都市の諸要件を整えつつ益々充実した発展を遂げ、近畿経済圏に占める地歩は確固たるものがあります。このような都市環境の中にあって、商工業者の結集と活動の中枢機能を果す当商工会議所は、昭和36年12月、現在の独立した会館(※旧会館の前の会館)を所有するに至り、その後も業界の発展と関係各位の要望に即応して、昭和39年10月、会館の一部増築を見たものであります。しかしながらその後、予想外に当地域の発展が目ざましく、急速度な進展を見た今日、会館の利用も加速的に増加し、会館増築後まだ日を浅くして既に狭隘を感じる現況に至ったことは、まことに嬉しい悲鳴と申せましょう。ともあれ、このままの状態では商工会議所としての機能の低下に繋がり、又満足なモータープールさえ持たない会館は、今後益々増加する自動車交通利用の面から見ても、非常な不便さをもたらすものであります。当地に於ける産業発展に伴ない、会員は申すに及ばず一般市民の商工会議所活動についての認識は益々高まり、又会員の商工会議所に対する依存、信頼度が高まって来た現在、地元経済人の誇りを持って御利用願える会館の建設、実現こそ全会員の待望久しいものであり、必然の要請となって参ったものと存ずる次第であります。この点については会員各位からも積極的な新会館建設を切望され、去る昭和41年2月4日開催の議員総会においても、具体的な推進に踏み切ることを決議され、その後用地確保のための折衝等種々準備を進めてまいりましたが、本年に至りようやく会館用地決定の目途も立ち、ここに永年懸念の会館建設に着手する段階に到達した次第であります。これが完成の暁は、電算機共同利用センターの設置に伴ない商工業の総合センターとして、広く産業経済の振興に活用し、地域の繁栄促進に果たす役割の大なることを確信いたすものであります。時あたかも当商工会議所創立20周年を迎え、この記念事業としても万難を排して建設すべきであるとの力強いご声援をいただいておりますが、建設に当たりましては、何分相当の資金を要することでもあり、会員各位のご協力を仰ぐほかないのであります。各位には出費ご多端の折から誠に恐縮に存じますが、趣旨ご諒察の上何卒地元商工業の発展のため、格別のご支援を賜わりたく切に懇願申し上げます。

昭和44年9月
枚方寝屋川商工会議所 会頭 江藤勝弘
会館建設特別委員会 委員長 福原耕一

旧会館建設の基本方針

  1. 会館は我々商工業の殿堂として、品位があり、多くの商工業者に親しまれ利用されるものであること。
  2. 会館はその建設、維持管理にできる限り経済的であって、しかも利用価値の高いものであること。
  3. 会館は健康的で能率的な執務条件に適合するものであること。
  4. 会館は枚方市、寝屋川市、交野町の将来の発展の中において調和し、且、特性を活かした近代的なものであること。

目的

躍進を続けている枚方市、寝屋川市、交野町において、商工業界の結集と活動の中枢的機能を果たす商工会議所会館を建設することによって、企業に共通の利益と産業の発展とを、より効果的に促進するとともに商工業ならびに従業員の福祉を実現することを目的とする。

旧会館用途の具体的内容

  1. 中小企業の経営及び技術の近代化のための指導方法として、講習会、研究会等を継続的長期的に開催
  2. 技術革新の進展、産業構造の高度化に伴う技能者の需要に対処するために開設された共同職業訓練の実施
  3. 特産品、輸出品陳列場を模範店舗として設置、照明、色彩、配置等、店舗設計の実習場として活用、贈答品展示場として活用
  4. 各事業所の事務能率の向上と近代化をはかるための電算機共同利用センターの設置
  5. 近畿経済圏の一環としての地域に関する調査分析のための資料を収集、商工関係のあらゆる図書の設置
  6. 経営指導強化のため、経営指導員、専門指導員による商工相談室の設置
  7. 各事業所従業員の共同福祉施設として、各種催場に利用
  8. 各会社への来訪者の歓迎、御得意先の招待、年賀交歓会、その他儀礼上の会合、株主総会、幹部会議、その他業務上の会合のためホール、グリルの利用
  9. 商工会議所会員の増加ならびに、国の委任事務の増加に伴う事務増大に対処し迅速確実に処理するため事務機構の拡大
  10. ロータリークラブ、ライオンズクラブ、青年会議所、経済クラブ、商店会連合会、市場連合会、各種経済団体等これら会議所関連団体の活動に供する
  11. 地元産業発展に伴い事業所間の共通事項に関する意見調整のための会合の増加に対処

※ 参考 1970年度会員数約800事業所、2024年度約4170事業所

当時は高度経済成長がまさに始まらんとする成長の激動期、当時の会員数は約800事業所で、現在の五分の一。趣意書を見ると経済成長の勢いに会館が手狭となっていたことが伺える。また当時は土地の取得を同時にされていてその苦労が垣間見える。現在当所が保有する土地は先人の思いが詰まった貴重な財産であったことに違いない。また節々に会員の誇りとなる会館建設の悲願の思いが伝わってくる。グラフを見てもわかる通り、会館建設後、当所の会員数の成長速度は上昇し、約800会員から4,000会員に至るまで、「ふさわしい」規模での会館建設がその成長に貢献したことは想像に容易い。そして当所の会員数はバブル崩壊直後の1995年まで成長し続け4,278会員となり、ピークを迎える。その後グラフの通り、バブル崩壊からリーマンショック直後まで下降の一途を辿り、その後国の経済政策のテコ入れもあり、商工会議所の経営支援が中小企業施策のセーフティネットの一翼を担うこととなったことで、支援を求めて会員数は緩やかに回復していった。近年ではコロナ禍での支援を機にその回復速度が加速し続け、なんとこのまま行けば2025年度にはバブル期の過去最高の4278会員超えが視野に入ろうとしている。旧会館の建設が1945年、その50年後の1995年に会員数がピークを迎え、2011年に下限となり、その後2025年に再び会員数のピークが目前となってきた。まさに失われた30年を今回の新会館建設のタイミングで取り戻そうとしているのだ。果たしてこれから建設する新会館は、前述の先人の想いをしかと受け継ぐことができるのだろうか。続いて、現在建設を進めている新会館について順を追って振り返っていきたい。

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いよいよ大詰め、これまでの新会館の歩みについて 前編

今回の内容では、当所が保有する土地に新会館を建てることが決まった二つ目の特別委員会設立時あたりから振り返っていきたい。この特別委員会の焦点は、まず新会館のコンセプトを協議して作り上げるというものだった。協議体として新会館建設準備特別委員会を設立し、アドバイザーとして大阪工業大学工学部建築学科の教授陣にも参画いただいた。一つ目の特別委員会(新会館検討特別委員会)の成果として収集した会員アンケートの結果をもとに、そもそも商工会議所の会館とは何なのか、会館を利用している会員の割合、会員が会館に求めている機能は何なのかなど、5回の特別委員会でひとつずつ整理していった。その過程でアドバイザーには様々なパターンのイメージパースを出していただき、より具体的に検討を重ねていった。その結果を「新会館建設準備特別委員会答申書 未来への礎~新時代の交流の拠点を目指して~」という小冊子にまとめ、令和3年10月18日臨時議員総会において会頭へ答申書を手交した。今回はその内容を一部紹介したい。ぜひ前述の旧会館建設の趣意書と見比べていただければと思う。

【新会館建設準備特別委員会答申書 未来への礎~新時代の交流の拠点を目指して(抜粋)】

はじめに

北大阪商工会議所会館は昭和45年1月建設の後、50年(現在では55年)が経過し、耐震化の問題、設備の老朽化や修繕の負担も増加する中、新会館の開設は我々にとって喫緊の課題です。そこで、平成29年9月11日の常議員会で承認された会頭諮問による新会館検討特別委員会(以後、前委員会)の8回の議論で新会館の基本コンセプトと方向性を協議した結果、「新しい視点と先達から引き継いだ価値ある資産の有効活用を図ることによって…新会館は、「独自に建て替え」の方向性で検討を進めることが妥当である」との結論を答申書としてまとめました。しかし、前委員会の結論、「旧会館敷地利用を前提」として具体的な建設に入るには、改めてコンセプトを再検討する必要があることから、再び、令和2年11月9日の常議員会で承認された会頭諮問による当委員会が設置され、5回の委員会を開催、会館建設や地域経済活性化という行為そのものが何たるや、という基本に立ち返りながら丁寧な協議を重ねてまいりました。その結果を当答申書としてまとめさせていただき、謹んでここに具申いたします。

必要と思われる機能

  1. 魅力ある会館
    北大阪商工会議所の会員であるという誇りと、帰属意識(ステータス)を高めるような立派な会館である。
  2. 会員サービスの充実
    今の時代に即した会員の使い易い会館。(ホール、駐車場、トイレ、バリアフリーなど)会員企業なんでも相談室のLP(ランディングページ)の開設。
  3. 情報プラットフォーム
    各種団体事務局の集結によって活きた情報の収集場所。そして集まった情報リソースのデータベース化を促進。
  4. 防災拠点
    新会館自体が地域との関わりを持つために防災拠点機能を持つ
  5. デジタルサービスの拠点
    広域にわたるデジタルサービスを展開するための機能(情報センターの充実・フリーWi-Fi など)
  6. サスティナブルな建物
    持続可能な開発目標であるSDGsや政府方針のカーボンニュートラル、ゼロエネルギービルディング(ZEB)を意識した計画であるべき

新会館の具体的な方針と規模(具体的な必須条件)

  • 商工会議所の諸会議規模から割り出された駐車場と会場ホール
  • 各種団体事務局の入る事務所(情報拠点)
  • 防災の観点からの商工会議所前の緑地
  • 商工会議所が開催する各種セミナーのセミナールーム(遠隔セミナー対応のための設備)
  • 地域経済活性化を実験的に企画運営のできるスペース(貸し事務局、打ち合わせスペース)
  • ユニバーサルデザインを考慮した多様性への対応(バリアフリー、トイレなど)
  • 会員が誇れるデザイン性のある建物
  • サスティナブルマネジメント(カーボンニュートラルやZEB関連設備の導入)

答申

北大阪商工会議所管内には、約70万の人々が生活をしています。同時に多種多様な業種の事業所がたくさん存在します。北大阪商工会議所は地域に眠る、そのような個人的なリソースであるアイデアや組織的リソースである実行力を、発掘・組み合わせて化学反応を起こすことによって、地域の活性化を図るという大切な役割があるといえます。例えば、昔なら、商工会議所で「ひと」「もの」「かね」の全てを準備するところですが、これからの商工会議所は地元のリソースを化学反応させることによって、今までにはない新しい独自のものを生み出していく必要があります。商工会議所として地域リソースの化学反応を生み出す実験室が新会館であり、それを先導することが北大阪商工会議所の役割といえます。すなわち、商工会議所は化学反応のデータを取る場所であって、そのデータを基に持続可能な地域経済活性化が興れば役割を果たしたといえます。それらを踏まえて、北大阪商工会議所 久門会頭に新会館建設準備特別委員会から以下の内容を答申いたします。

  1. コロナ状況下の経済の成長予測も踏まえて、あまり将来に負担のかかる負の遺産を残すべきではない。よって大規模な会館設立を目指すのではなく、会員へのサービスを念頭においた規模の新会館を建設すべきである。(商工会議所の諸会議、賀詞交換会等の規模)
  2. 枚方市の駅前開発を踏まえて、大規模イベントの会場には、他の公共施設を使用するべきである。
  3. 商工会議所規模・エリア商圏規模から考えて、北大阪商工会議所は、自らが動いてまちおこしをしていく「まちおこし率先型」ではなく、地域の様々なリソースを持つ各種組織との連携を図り、物事を推進していく「連絡調整型」の商工会議所である。
  4. 広域を抱える商工会議所としては、デジタル化の時代を迎え、DXを駆使して、サービスの向上をしながら経費を抑える運営を求める。

抜粋ではあるが、以上のコンセプト中心の答申内容とアドバイザーからの提案レポートを踏まえて、今回新会館で依頼する設計会社のプロポーザル審査を実施。3社が応じ、最も良い提案且つ安価であった設計会社を決めることができた。そして最後の特別委員会になるであろう3つ目の会館建設特別委員会では、設計会社の提案に対して意見を重ねる形で精度を高めていき、概算建設費の試算なども行っていった。そうしている間に世の中では、ウクライナ戦争が勃発し、同時に急激な円高となり、更には大阪・関西万博の建設ラッシュも重なり、建設費相場が暴騰。概算見積も見る見る高騰した影響もあり、可能な限りの面積のプランを大幅修正に修正を重ねてようやく最終的な段階まで来ることができた。今回は外観のパースのみお披露目させていただき、後半の経緯を随分端折ってしまった新会館の全容は次回取り上げさせていただきたい。

北大阪商工会議所 新会館建設協力金について(ご依頼)

当所は昭和23年に枚方市・寝屋川町・交野町・津田町を管轄する「社団法人 枚方商工会議所」として発足し、昭和46年に「北大阪商工会議所」に名称が変更され、現在に至ります。枚方市大垣内町の官公庁団地に立地する「商工会議所会館」は、当所会員皆様のご協力により昭和45年に竣工し、長らく地域の皆様方に親しまれ、経済・産業に関する会員の声を集約し、行政に対して建議要望を行うことや、会員事業者の経営や創業を志される方々をご支援させていただくなど、地域産業の拠点としての役割を担ってまいりました。
しかしながら竣工後50年が経過して建物の老朽化が進行し、また耐震性の問題や多額の修繕費用が生じていたため、令和元年に一旦会館を閉鎖し、事務局機能を「枚方市 輝きプラザきらら6階」および、枚方市駅前商業施設「ビオルネ」に仮移転させた上で、既存の枚方市大垣内町において新会館を建て替えすることとなりました。
新会館建設を機に、これまで交野市を活動拠点としていた「情報センター」も新会館に入居いたします。ITやWEB活用のサポートを得意とする強みを活かし、「本所」と一体となって会員事業者様の経営の合理化・生産性の向上を推進させ、枚方市・寝屋川市・交野市の新たな産業支援拠点として、三市の経済に貢献してまいります。
現在、新会館建設に向けて準備を進めているところではございますが、皆様ご承知のとおり、昨今の材料費・人件費上昇に起因して、建設費用が高騰し、多額の資金が必要となります。「商工会議所会館」は会員皆様の財産となることや、今後も長きに亘り、枚方市・寝屋川市・交野市の産業拠点となるべく施設でございます。つきましては趣旨ご賢察の上、出費多端の折、誠に恐縮ではございますが、会員皆様方のご支援・ご協力を賜りたく、「新会館建設協力金」を募らせていただきます。

募集期間:令和7年3月~令和8年10月

募集目標額:1億円

  • 一口1万円で募集させていただきます。
  • 経理処理につきましては「建設協力金等に対する税法上の取り扱いについて」をご覧ください。
  • 全ての協力事業者様におかれましては、新会館建設後、当所会報誌・HP・新会館建設記念誌に社名を掲載させていただきます。
  • 10口(10万円)以上のご寄付の場合、新会館1階入口付近に設置する奉名板に社名を掲示させていただきます。
  • 奉銘板に掲示させていただく「社名プレート」は、寄付額に応じた多段階のサイズにより作成させていただきます。

お申込方法:「建設協力金 申出書」にご記入の上、郵送又はFAX、メールでお申込みください。

詳細はこちら
「建設協力金 申出書」ダウンロードURL:https://www.kocci.or.jp/news/2025/04/91160/

本件問い合わせ先
北大阪商工会議所 新会館建設事業担当
TEL:072-843-5154
FAX:072-841-0173

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